画像のピラミッドを1枚の画像として出力するサンプル
同一画像で繰り返し半分に縮小しながら積み重ねていく操作(ピラミッド)が必要になったので、ピラミッドを1枚の画像として出力するサンプルを作ってみました。
ピラミッド
同一画像の解像度をある一定比率(よくある例では半分)で繰り返し縮小しながら積み重ねていくことを、ピラミッドと言います。OpenCVのドキュメントでは、ガウシアンピラミッドやラプラシアンピラミッドが紹介されています(ラプラシアンピラミッドはGANの評価指標・SWDに使われます)。
例えば、128×128の解像度の画像があったとしましょう。これを高レベル(低解像度)方向にピラミッドを作っていくと、
- 128×128の画像(オリジナル)
- 64×64の画像(オリジナルを半分に縮小)
- 32×32の画像(さらに半分に縮小)
- 16×16の画像(さらに半分に縮小)
という具合に積み重なっていきます。
この記事でやりたいことは、出来上がったピラミッドを1枚の画像として結合し、出力するということです。
考え方
出力画像の解像度をなるべく抑えようとすると次のように考えられます。
まず、オリジナル画像の解像度に対して、縦か横を1.5倍した画像を「キャンバス」として考えます。そのキャンバスに対してピラミッドの各画像をペーストしていくようにします。最後にそのキャンバスをファイルとして保存すれば完成です。
ここで問題になるのは、ピラミッドの各画像をペーストする際、キャンバスでのどの座標に配置するか?ということです。これは書き出して行くと規則性が見えて、
解像度 | 左上x | 左上y | 右下x | 右下y |
---|---|---|---|---|
128 | 0 | 0 | 128 | 128 |
64 | 0 | 128 | 64 | 192 |
32 | 64 | 128 | 96 | 160 |
16 | 64 | 160 | 80 | 176 |
ピラミッドの1枚目(オリジナル画像)が、キャンバスの(0,0)の座標に配置します。解像度は縦横128pxなので、右下・左下は(128,128)となります。
ピラミッドの2枚目は、1枚目の下に配置します。つまり、キャンバスでの座標(0, 128)にペーストします。この画像の解像度は64pxなので、始点に+64したのが右下の座標になります。
ピラミッドの3枚目は、1枚目の下・2枚目の右に配置します。ピラミッドは高レベルになるほど解像度が下がるのでこういう配置が可能です。
以下同様です。つまり、下→右→下→右→…のように配置していきます。
ここで、各画像のペースト先のキャンバス上での座標に対して、「2枚目-1枚目」、「3枚目-2枚目」の差分を取ります。そうすると次のようになります。
idx | 差分x | 差分y |
---|---|---|
0 | 0 | 128 |
1 | 64 | 0 |
2 | 0 | 32 |
3 | 16 | 0 |
規則性が見えてきました。「idxが偶数ならyに、idxが奇数ならx」に足せばよいのです。あとはこれを実装するだけです。
実装
オリジナル画像を「train.jpg」とします。
from PIL import Image
def tile_pyramid(n_repeat):
with Image.open("train.jpg") as img:
width, height = img.size
with Image.new(img.mode, (width, height * 3 // 2)) as out: # 出力サイズは縦だけ1.5倍
x, y = 0, 0
out.paste(img, (x, y))
for i in range(n_repeat):
if i % 2 == 0:
y += height // (2 ** i) # 0, 2, 4..でy方向にシフト
else:
x += width // (2 ** i) # 1, 3, 5..でx方向にシフト
paste_img = img.resize((width // (2 ** (i + 1)), height // (2 ** (i + 1))), Image.LANCZOS)
out.paste(paste_img, (x, y))
out.save("out.png")
if __name__ == "__main__":
tile_pyramid(6)
「n_repeat」はピラミッドを繰り返す回数を表します。この例では6回としました(最終的な解像度は1/64になります)。
結果
もうちょっと良い配置あるかも。
別バージョン
互い違いに足すことは変わりないですが、奇数偶数で縦横足さない場合でも微小な差分を足すことをしてみます。
def tile_pyramid(n_repeat):
with Image.open("train.jpg") as img:
width, height = img.size
with Image.new(img.mode, (width, height * 3 // 2)) as out: # 出力サイズは縦だけ1.5倍
x, y = 0, 0
out.paste(img, (x, y))
for i in range(n_repeat):
if i % 2 == 0:
x += width // (2 ** (i + 3))
y += height // (2 ** i) # 0, 2, 4..でy方向にシフト
else:
x += width // (2 ** i) # 1, 3, 5..でx方向にシフト
y += height // (2 ** (i + 3))
paste_img = img.resize((width // (2 ** (i + 1)), height // (2 ** (i + 1))), Image.LANCZOS)
out.paste(paste_img, (x, y))
out.save("out.jpg")
どっちが良いかはお好みで。
Shikoan's ML Blogの中の人が運営しているサークル「じゅ~しぃ~すくりぷと」の本のご案内
技術書コーナー
「本当の実装力を身につける」ための221本ノック――
機械学習(ML)で避けて通れない数値計算ライブラリ・NumPyを、自在に活用できるようになろう。「できる」ための体系的な理解を目指します。基礎から丁寧に解説し、ディープラーニング(DL)の難しいモデルで遭遇する、NumPyの黒魔術もカバー。初心者から経験者・上級者まで楽しめる一冊です。問題を解き終わったとき、MLやDLなどの発展分野にスムーズに入っていけるでしょう。
本書の大きな特徴として、Pythonの本でありがちな「NumPyとML・DLの結合を外した」点があります。NumPyを理解するのに、MLまで理解するのは負担が大きいです。本書ではあえてこれらの内容を書いていません。行列やテンソルの理解に役立つ「従来の画像処理」をNumPyベースで深く解説・実装していきます。
しかし、問題の多くは、DLの実装で頻出の関数・処理を重点的に取り上げています。経験者なら思わず「あー」となるでしょう。関数丸暗記では自分で実装できません。「覚える関数は最小限、できる内容は無限大」の世界をぜひ体験してみてください。画像編集ソフトの処理をNumPyベースで実装する楽しさがわかるでしょう。※紙の本は電子版の特典つき
- まとめURL:https://github.com/koshian2/numpy_book
- みんなの感想:https://togetter.com/li/1641475
- A4 全176ページモノクロ / 2020年12月発行
「誰もが夢見るモザイク除去」を起点として、機械学習・ディープラーニングの基本をはじめ、GAN(敵対的生成ネットワーク)の基本や発展型、ICCV, CVPR, ECCVといった国際学会の最新論文をカバーしていく本です。
ディープラーニングの研究は発展が目覚ましく、特にGANの発展型は市販の本でほとんどカバーされていない内容です。英語の原著論文を著者がコードに落とし込み、実装を踏まえながら丁寧に解説していきます。
また、本コードは全てTensorFlow2.0(Keras)に対応し、Googleの開発した新しい機械学習向け計算デバイス・TPU(Tensor Processing Unit)をフル活用しています。Google Colaboratoryを用いた環境構築不要の演習問題もあるため、読者自ら手を動かしながら理解を深めていくことができます。
AI、機械学習、ディープラーニングの最新事情、奥深いGANの世界を知りたい方にとってぜひ手にとっていただきたい一冊となっています。持ち運びに便利な電子書籍のDLコードが付属しています。
「おもしろ同人誌バザールオンライン」で紹介されました!(14:03~) https://youtu.be/gaXkTj7T79Y?t=843
まとめURL:https://github.com/koshian2/MosaicDeeplearningBook
A4 全195ページ、カラー12ページ / 2020年3月発行
累計100万PV超の人気ブログが待望の電子化! このブログが電子書籍になって読みやすくなりました!
・1章完結のオムニバス形式
・機械学習の基本からマニアックなネタまで
・どこから読んでもOK
・何巻から読んでもOK
・短いものは2ページ、長いものは20ページ超のものも…
・通勤・通学の短い時間でもすぐ読める!
・読むのに便利な「しおり」機能つき
・全巻はA5サイズでたっぷりの「200ページオーバー」
・1冊にたっぷり30本収録。1本あたり18.3円の圧倒的コストパフォーマンス!
・文庫本感覚でお楽しみください
北海道の駅巡りコーナー
ローカル線や秘境駅、マニアックな駅に興味のある方におすすめ! 2021年に大半区間が廃線になる、北海道の日高本線の全区間・全29駅(苫小牧~様似)を記録した本です。マイカーを使わずに、公共交通機関(バス)と徒歩のみで全駅訪問を行いました。日高本線が延伸する計画のあった、襟裳岬まで様似から足を伸ばしています。代行バスと路線バスの織り成す極限の時刻表ゲームと、絶海の太平洋と馬に囲まれた日高路、日高の隠れたグルメを是非たっぷり堪能してください。A4・フルカラー・192ページのたっぷりのボリュームで、あなたも旅行気分を漫喫できること待ったなし!
見どころ:日高本線被災区間(大狩部、慶能舞川橋梁、清畠~豊郷) / 牧場に囲まれた絵笛駅 / 窓口のあっただるま駅・荻伏駅 / 汐見の戦争遺跡のトーチカ / 新冠温泉、三石温泉 / 襟裳岬
A4 全192ページフルカラー / 2020年11月発行